ベルリン中心部からほんの少しだけ外れた森の中。
Waldbühneでの野外コンサートでダニエル・バレンボイム指揮、West-Eastern Divan Orchestra演奏のベートーベンの第八交響曲と第九交響曲を聴きに行った。
木々がうっそうと茂る森の中、19時から始まり、間30分ほどの休憩をはさみ、空の色が徐々に夜の色に移行していく中でのベートーベン。
チケットをネットでとった時には、第八をやるということは決まっていたけれど、第九をやるとは載っていなかったはず…。
まさか交響曲を二つもするとは思ってもおらず、ましてや第九ということで、母を連れていってよかったよかった。
観客席を見渡すと、クラシックファンはもとより、本来ならあまりクラシックコンサート場には見かけそうもない、全身に刺青をほどこしたスキンヘッドのお兄ちゃんや、チェーンじゃらじゃらのおじちゃんたちもいる。
そうして休憩中には、ビールやワイン、クレープやウインナのスタンドに長蛇の列。
さながら野球観戦のような雰囲気。
盛り上がった観客は楽章ごとにも拍手しちゃうけど、バレンボイムも慣れたもので全然へっちゃら。
その間に汗をふきふき、小休憩。
さすがに四楽章のコーラスの間に感極まった観客から拍手が出た時だけは、他の観客から「シーッ!シーッ!」と制止の合図がおこってたけど、全て終わった後の観客の盛り上がりようときたら!
これまで聴いてきたクラシックコンサートではありえないようなハイテンションぶり。
拍手あり、口笛あり、歓声あり。
音楽ってきっと、その場の雰囲気が思った以上に相互作用で影響しあうんだろうなぁ。
演奏者にとっても観客にとっても。
堅苦しいマナーにのっとればここでの観客はお行儀のいい聴き手ばかりではなかったかもしれないけれど(途中で帰っちゃう人もいたし)、でもクラシックの「ルール」を知らない人も交えての観客を相手の演奏は、それはそれで演奏者にとってのいい刺激になるはず。
良くなかったら途端に観客のテンションは下がるし、良ければ良いで異常な盛り上がりを見せる。
「一期一会」ってこういうのを言うんだろうな。
きっとバレンボイム指揮の第九を聴いたからって、いつもいつもこの雰囲気、盛り上がりをみせるわけではないんだ。
それに今回の演奏だって、きっと批評家やプロが見ればいろいろつつくところはあったのかもしれない。
音響だって野外でやるということはそれだけで、かなりリスキーだ。
音は核散してしまうから、マイクを多用している。
結果として、音は生演奏の迫力よりも、一瞬録音的な感じになってしまうから。
でもそんないろいろがあったとしても、少なくとも私にとっては一生忘れられない第九になった。
