東京バレエ団による、モーリス・ベジャール振付の「M」を観にいってきた。
「M」は、三島由紀夫のM。
三島の人生と作品の断片からなるイメージ。
ベジャールは「批評ではなく、仄めかし」といっていた。
能や歌舞伎などの日本芸能をテーマにした舞台をいくつも創作してきたベジャール。
踊りや構成も素晴らしかったけど、舞台美術も美しい。
最後のシーンの、舞い散る桜吹雪は圧巻でした。
今日観に行ってきた理由がもうひとつ。
たった2日間の公演のために、小林十市さんが7年ぶりにダンサー復帰するから。
モーリス・ベジャール・バレエ団でベジャールバレエを踊り続けてきた彼が、東京バレエ団の団員と共演するのだ。
2002年に、ベジャール・バレエ団が来日し、「東京ジェスチャー」を上演した時、行くか行くまいか迷った私。
結局見送ってしまったが、その直後に小林さんは腰椎椎間板変性症により、突如現役を引退してしまった。
スポーツ選手同様、体を酷使するダンサーの寿命は長いとは言えず、観られる機会を逃したら次があるとは限らないということを思い知らされた。
その彼が今回、18日に復帰、19日に引退という、異例の2日間だけのダンサー復帰を図るというので「これはもう」と観に行ってきたのであります。
とはいえ、7年のブランクを経てのダンサー復帰なんて可能なのだろうかと思ってもいた。
バレエなんてレッスンを数日休んだら、取り戻すのにえらい時間がかかるものなのに、それをさらにプロとしての踊りとして提供するなんてこと、並大抵の努力と意志ではできないだろう。
で、結論ですが。。
素晴らしかったです。
これで引退?
全然、今後も踊れるんじゃないですか?
ときっと誰もが思ったはず。
でもおそらく、一度故障を起こした体は、時限爆弾を抱えているようなもの。このまま踊り続けても痛みは蓄積していくばかりなんでしょうね。
公演後のカーテンコールは、たぶん10回以上はあった。
客席の灯りがついてからも拍手は止まず、最後はスタンディング。
ようやく客が帰り始めてからは、幕の内側でダンサーたちの拍手喝采と口笛、笑い声が聞こえてきた。
一時は歩くことさえできなかったことからダンサー引退を決意したものの、心の準備も整わない突然の幕引きに自分の中では本当には納得がついていなかったと、小林十市さんはどこかで語っていた。
今回、たった2日間とはいえ、ベジャール作品でダンサー生活に終止符を打てたのは良かったのかもしれないですね。
私たち観客としては残念ですが、最後にもう一度踊りを観れて良かったです。
素晴らしい舞台をありがとうございました。

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