取材は夕方に終わり、そのまま帰るともなくミッドタウン内を散策。
私はPCを使うようになっても、ノートやら便箋やらの文具類が大好きなのだが、
年々、文房具売り場は縮小気味。
かつては充実していた百貨店内の文房具コーナーも、最近は普通のペラペラノートを僅かばかり扱うのみで、まったくもって味気ない。私の好きなリングの背も、分厚く硬い表紙も、クラシック調の色調も、最近ではかなり入手困難になっている。
特に使う予定がなくても、棚に空白のノートが数種類ずつ揃ってないと、なんだかムズムズ、ソワソワしてしまう私。
「もう残りのノートがない。どうしよう…」
その日は、ようやくちょっと時間が空いたので、じっくり文具選び。
その他のフロアもタラタラ見て歩き、表に出た頃にはとっぷり日も暮れていた。
外のカフェでは、木立の下でワインを傾けくつろぐ人々であふれており、その空間だけ、ちょっと外国っぽいおしゃれ~な雰囲気を醸している。
それを眺めながら駅に向かって歩き始めると、なんだか前方から、
しゃららん しゃららん
音が響いてくる。
たくさんのガラスを打ちつけ響いているような音。
見ると前方には、昔ながらの「風鈴屋さん」。
背中に赤い「風鈴」の二文字を染めたTシャツを着た痩せたお爺さんが、
両手はだらり横に下ろしたまま、肩に天秤棒を食いこませ、何十という風鈴をぶら下げて、ゆっくりゆっくり歩いている。
しゃららん しゃららん
通りすがりの外国の青年が振り向いて驚き、
さっそく携帯を取り出し、お爺さんの後にくっ付いて歩き始めた。
ミッドタウンのきらびやかさと、風鈴のお爺さん。
素敵な対比に嬉しくなりつつ、
「あのお爺さん、いったいどこに風鈴を売りにいくんだろう…」
デジカメの充電が切れて、遠くから二枚しか取れなかった写真を眺めながら、
聞いてみればよかったなぁと、ちょっぴり後悔している今日の私でした。
