
先週、最後の桜を見た。
池袋にある明日館の夜桜。
先日の隅田の桜と同様、桜を見に行ったわけではない。
二週間に一度、この建物内で書道教室が開催されている。
そこに行った時のこと。
明日館は、1921年に自由学園明日館として建てられた。
建築は、帝国ホテルも設計したアメリカ人建築家のフランク・ロイド・ライト。
門をくぐると芝生を敷き詰めた小さな中庭があり、それを取り囲むようにコの字型に建物が建てられている。
豪華ではない。
簡素なのに瀟洒な建物。
昔ながらの明るさを押さえた照明が、長年使いこまれた木の床に柔らかに反射しており、美しい。
国の重要文化財である。
そこの桜が美しい。
もっともほとんど認識せずに行ったのだが。。
建物の他のホールでは、アパレル関係のパーティ行われていた。
照明をおとした会場にガンガンに音楽をかけ、モデルやデザイナーらしき人々が、これでもかっていうくらいの多さでひしめき合っている。
その中をぬいながら、一人筆を持って洗面所の水を求めてさまよい歩く。。
外では満開の夜桜がライトアップされて紺碧の夜空に浮かび上がっている。
おりしもその日は満月。
筆をもったまま教室に戻らず桜に見入っていたその瞬間、
一気に風がわき起こり木々を大きく揺さぶった。
ほとんど満開状態も過ぎ、かろうじて花芯にひっついていた花弁たちが抵抗できずに一斉に手を離した。
ブワ~ッとばかりに巻き起こる桜吹雪。
一枚一枚がライトに照らされて白く輝き、空高く舞い上がる。
と、風向きが変わったのか、一斉に私にめがけて吹き付けてきた。
ときが止まったかのような美しさ。
桜の吹雪に包まれて、一瞬「桜の香り」まで感じたような気がした。
一生この光景を忘れないでいよう。
春の桜の最後の瞬間。

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