
かつて卒業旅行で、友人と二人ヨーロッパを数カ国を回ったとき。
たどりついたミラノでは、街頭で花を配っている人が何人もいた。
大きなカゴに、黄色いポンポンがついた小枝を沢山盛り、道行く人々に笑顔で渡していく。
私たちにもくれる。
どうやらタダでくれるらしい。
なんでくれるの?という顔をしたのだろうか、説明してくれた。
今日は、これから春が始まるという日。
この日に、イタリアではこの花を女性に贈る決まりになっているんだ。
ふ~ん。
とふたり、黄色のポンポンを片手に宿泊先の部屋に行く。
火の気もほとんどない、暗がりの安宿の机にペットボトルを置き、そこにポンポンを挿す。
そこだけが春が来たかのように輝いていた。
ところでこの花の名前はなんていうんだろう。。
友達が思いつく。
ひょっとして、これってミモザじゃない?
ミモザ!?
ミモザって黄色なんですか!?
少なからずショックだった。
なぜといって、私はずっとミモザとは薄紫色、ライラック色だとばかり思っていたのだ。
なんでそんな思い違いが生じたかというと、きっかけは漫画。
池田理代子さんの作品、『オルフェウスの窓』には、ミモザが出てくるシーンがある。
主人公の美少年(実は女性)が、ミモザが咲き乱れている大きな枝を片手に登場するシーンがある。
その絵を観て、なぜか私はミモザとはライラック色だと思い込んでしまったのだ。
ビジュアル的に、金髪で細面の「美しすぎる」少年が持つには、まさか元気いっぱいの黄色とは考えも及ばず、上品でアンニュイ、たおやかなライラック色が「ふさわしい」と思いこんでしまったのだ。
とはいえ、それは池田理代子さんの責任でも何でもなく。
だって漫画はモノクロだから。
セリフのどこにも紫色なんて言われてないし。
勝手にこちらが勘違いしてしまっただけの話。
しかしそれからというもの。
私はミモザの色は薄紫色だと信じてこの世を生きてきた。
日本では今でこそ、春になればどこの花屋でもミモザを大きく飾って売り出しているけれど、
昔はそこまでではなかったと思う。
私の大きな勘違いは誰からも訂正されることなく成長し、、
それがここミラノで大きく異なる現実を目の前に突きつけられたことになる。
少しばかりパニックを起こし、
えっ、だってミモザって紫色じゃなかったの?
と抵抗を試みるも、友人の次の一言であえなく粉砕。
だってミモザサラダって黄色じゃん。
あれって卵の黄身をミモザに例えてるから、ミモザサラダっていうんでしょう。
なるほど…。
納得。。
3月8日は「国際女性デー」。
この日には、男性から女性にミモザの花を贈る、という習慣がヨーロッパ、特にイタリアでは慣例となっているそう。
「FESTA DELLA DONNA(フェスタ・デラ・ドンナ)」。
おそらく、私たちはちょうどこの日にミラノに到着したのでしょう。
3月。
日本でもミモザが満開。
雲ひとつない青空を背景に、元気いっぱいミモザの黄色。
毎年この風景を楽しみにしながらも、
私の頭の中だけで存在していたライラック色のミモザがもし現実に存在していたら、
それはどんな様子で風に揺れるんだろう…と、
そんなことも毎年想像せずにはいられない月なのであった。

1 件のコメント:
Einen lieben Gruß aus Deutschland
Caythlin :-)
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