この日の朝食は、「前田珈琲」店へ。

クロックムッシュとカフェオレをいただき、電車に乗って宇治に移動。

電車が宇治茶色!とテンションあがる。

小雨の降る中、宇治駅に到着。
急いで
「源氏物語ミュージアム」に移動する。
小さいながらも源氏物語の世界にひたれる素敵なミュージアム。
等身大で衣装が展示してあったり、光源氏の住まい六条院のミニチュアなど。
当時の建物がどういう構造になっているのか、いまいち分からなかったのが、それも良く分かり大満足。
京都に来る前に夜更かしして「あさきゆめみし」を完読したかいあり。
(情報収集元が漫画ってどうなのよ!っていう声は置いておいて…)
あまりに楽しかったので、予定よりも時間が押しこのままでは平等院まで辿りつかない!
と騒いでいたにも関わらず、途中で通りかかった
「通圓」でお茶をしてしまう。
栗ぜんざいとお抹茶、美味。

その後も宇治橋を渡り切るまでに、「きれいきれい!」を連呼し写真は撮るは景色に見入るわで、いったいどれくらいの時間を消耗したことか。。

ようやく橋を渡りきり、平等院に向かう道。あるお茶のお店を探していた。
数日前に京都で会った友人が、宇治に行くならこの店にいけ、と教えてくれていたところだ。
一階は店舗で、二階が資料館になっているとのこと。
重い荷物を引きづりながら、通りかかったお店で尋ねると
「あ、それ、うちのことですよ」
お~なんて素晴らしい!
ということで立ち寄らせていただいた「上林三入」(かんばやしさんにゅう)。
(HPでは宣伝しておらず。ぜひ、宇治に行って訪れてくだされ)
江戸時代の初めからここでお店を営み、現在16代目という「上林」には、春日局やら当時の大名からの感謝状や注文書、江戸城にお茶を献上するための道中絵巻など、多くの歴史的資料を所有されている。
入場無料のこの資料館を、16代目当主の方に案内していただいた後、一階に下りて宇治茶をいただく。
宇治茶は……、ものすごい衝撃の味だった!
「ちょっと美味しい!」とか、「変わった味!」とか、「素晴らしい!」とか、「ワンダホ―!!」とか、
そんなんでは表せないくらい、「これは本当に緑茶ですか?」ってな味だった。
「これが緑茶と言うならば、では今まで飲んでいたのは何?
今まで「宇治茶」と言われていただいていたのは、あれは何?」っていうくらいの衝撃。
色は薄く、わずかにほんのりと緑茶色、だけど味はガツンと響くコクとまろやかさ。
かなりインパクトある味ながら、飲み終わった後、口にいやな余韻が残らない。
けれども、先ほどの味を口が覚えているから、「もう一煎」といきたくなる。
宇治にまで来た甲斐はあった。
いろいろ教えていただき、ついでに宇治茶も購入し、お店を後にする。
今夜の宿泊先は、「鮎宗」。
宇治川沿いの旅館に荷物だけ放り込むようにして置き、すぐ裏手の平等院へ。

確か修学旅行で訪れて、さすがに「おぉ」と感動したことだけは覚えているけれども詳細は遠く忘却のかなた。
今回改めて見学して、思いのほかの小ささに少しびっくり。
初めて見たときの感動が、記憶の中の平等院を現実よりもはるかに大きく、はるかに豪華絢爛に仕立て上げていたみたいだ。
私の記憶の中に残る平等院は結構極彩色だったから、1000年の時を経ての姿ではなく建てられた時の姿が、それを見ているはずもない私の記憶の中に刷り込まれていたのは面白かった。
極楽浄土を表していた当時の姿を、この目で見たい。
池には季節外れの蓮の花がちんまりと咲いている。

天気がすぐれぬ曇り空だがそれもよし。
平等院の裏手にはすでにすすきと萩が咲いており、秋の風情を漂わせていた。

平等院の閉園時間も迫り、敷地内には私たちしかいない。
それでもマイペースな私たち。小さな小さな白い蓮を見つけた。
蓮と言えばピンクが普通なのに、珍しいと眺めていたら、門にいた係の人が説明してくれた。
この平等院にある白い蓮は、現代のピンク蓮とは異なり、古代蓮なのだそう。
古代に咲いていた蓮をよみがえらせ、この平等院に植えたのだとか。
清々しく瀟洒な白い蓮。
今回の旅で出会えてよかった。

さてさて。
夕食はこの日の宿「鮎宗」にて。
宇治川にせり出す川床にて、刺身やてんぷら、おそばなどを美味しくいただく。
夕暮れの宇治川はまるで時代を遡ったかのような風情で美しく、日本酒のほろ酔い加減がますます対岸の朱色の橋を朧霞に煙ってみせる。

「うまうま」食べているところに、宿の人が「そろそろ鵜飼の始まる時間ですよ」と急かしに来てくれた。
「寒いですからよかったら、どてらでも着て」
「でも、お酒がまだ…」とむにゃむにゃ言っていると
「お盆貸してあげますから、ここにとっくりとお猪口を乗せて。」
宿のどてらを着て、お酒持ってフラフラと朱色の太鼓橋を渡る。
ますます時代感覚が揺らいでくる。
船に乗り込むと、私たちのお酒を見て先客たちが
「おっ!」
「いいね!」
「うらやましいね~!」
と口々に声をかけてくれた。
「えへへ~」と言いながら船に落ち着く。

これから一時間弱、船に乗って鵜飼漁の見学だ。
空はとうに真っ暗になり、空気は澄みきり冷ややかだ。
霧が煙る中、船は静かに川を漕ぎだす。
向こうからも船が一艘やってくる。
川べりでは若い女性の鵜飼師さんが説明を始めている。
まずペリカンの仲間だという鵜の首にひもをくくりつける。
これで、川に入った鵜は魚をとっても自分で飲み込むことができなくなる。

そうやって首をくくられた鵜たちは、その後川に次々と放りこまれる。
鵜飼の始まりだ。

船の先頭にかがり火をぶら下げ、その灯りの下で鵜たちが次々と鮎を獲り始める。
その流れとはこうだ。
彼らが鮎をパクッとやると、鵜飼師が目ざとく見つけ、その鵜につながっているひもをグーンと引っ張る。
船に釣り上げられた鵜は喉と口を押さえられ「吐かせます、吐かせます」という鵜飼師の声とともに、グエッと鮎を船底に吐かせられる。
そうして再びその鵜は川にポーイと放り込まれるのだ。
そうしてまたパクッとやったらグーンと引っ張られ、グエッとさせられ、またまたポーイと…。
なんとも不憫なかぎりではある。
捕っても捕っても、ちっとも自分の胃の腑に入ってこない。
「変だな~」と思いつつも何度も水の中に長い首を突っ込んでは「捕った!」
瞬間グーンと引っ張られ吐きだされるのだから。
でも、ちゃんとこの鵜飼漁が終わった後に、鵜たちはご飯をもらえるらしい。
逆にこの前ご飯を与えてしまうと、鵜たちは満足して鮎を捕らないらしいのだ。
そりゃあそうだろう。
おかげで今現在、究極腹減りまんな鵜たち。
がんばって鮎を捕り続けます。。

この鵜飼は9月から始まった。
時期的にちょうど。
見れて良かった。
小骨が多いわりに身が小さくて、今まであまり好きではなかった鮎。
これからは空腹を抱えた鵜たちを思い出して、心して食することを心に誓った夜でありました。